北総鉄道北総線

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北総線(ほくそうせん)は、東京都葛飾区京成高砂駅千葉県印西市印旛日本医大駅を結ぶ、北総鉄道が運営する鉄道路線である。駅ナンバリングで使われる路線記号はHS。HS

路線データ[編集]

沿革[編集]

京成高砂駅 - 小室駅間は、千葉ニュータウン建設開始に伴い、1972年3月の都市交通審議会(現在の運輸政策審議会)答申第15号が示した2本の東京都心直結ルートの一つで、「地下鉄1号線(都営地下鉄浅草線)を延伸し、京成高砂駅で京成線より分岐し、松戸市川両市境を東進、鎌ケ谷市初富を経て千葉ニュータウン小室地区に至る路線」である。

千葉ニュータウン内の交通路整備を優先するため、北初富駅 - 小室駅間を北総線第1期として先行開業することとし、1974年日本鉄道建設公団(現・鉄道建設・運輸施設整備支援機構)民鉄線対象工事として着工し、千葉ニュータウン西白井・小室両地区の街開きに合わせて1979年3月に開業した。同時に暫定的に新京成線に乗り入れ、松戸駅まで相互直通運転を開始した。なお、新京成線との直通運転は第2期線開業後の1992年7月8日に同線の新鎌ヶ谷駅開業と同時に廃止された。

北総開発鉄道は、千葉ニュータウンと東京都心を結ぶことが建設目的であるため、1983年に第2期線の建設に着手する。1991年に京成高砂駅 - 新鎌ヶ谷駅間を開業し、北総開発鉄道、京成電鉄東京都交通局都営地下鉄浅草線)、京浜急行電鉄の4者による相互直通運転を開始した。

小室駅 - 印旛日本医大駅間は、同じ答申で示されたもう一つのアクセスルートの一部で、地下鉄10号線(都営地下鉄新宿線)を延伸して鎌ケ谷市初富に至り、小室まで前記の路線と併走し、その先の印旛松虫地区に至る路線の一部である。本来、千葉県営鉄道として建設される予定のものを、1978年3月に千葉ニュータウン事業に参加した宅地開発公団(後の住宅・都市整備公団、都市基盤整備公団、現在の独立行政法人都市再生機構)が小室 - 印旛松虫間の鉄道敷設免許を譲り受けて建設、開業した。住宅・都市整備公団千葉ニュータウン線として小室駅 - 千葉ニュータウン中央駅間が1984年に開業した。その後、1995年印西牧の原駅まで、2000年印旛日本医大駅まで延伸され、全線開業した。

千葉ニュータウン線は、列車の運行、旅客営業、鉄道施設の保守業務などを北総開発鉄道に委託していたが、地方鉄道法の廃止や鉄道事業法の施行に伴って、1988年に住宅・都市整備公団が第3種鉄道事業者として線路・駅などを保有し、北総開発鉄道は施設を借り受けて運行・管理を行う第2種鉄道事業者となり、その後の延伸区間も同様の扱いとなった。その際、路線名も北総線区間を含めて北総・公団線とされた。

2004年7月1日に社名が北総鉄道に変更され、同時に都市基盤整備公団が都市再生機構に改組され、公団の保有する鉄道施設(小室 - 印旛日本医大間の線路・駅や車両など一式)について京成電鉄の全額出資によって設立された新会社「千葉ニュータウン鉄道」に移管された。それに伴い、北総路線を呼ぶ際は「公団」が外されて北総線となった。

2010年7月17日京成電鉄が運行する京成成田空港線(成田スカイアクセス)が開業。北総線は全線が成田スカイアクセスと共用となった。なお、一部では「北総線が成田空港まで延伸する」といった報道がなされていたが、あくまでも、現状の北総鉄道の線路上に京成電鉄がスカイライナーおよびアクセス特急といった空港アクセス列車を運行するということであり、北総線の区間は京成高砂駅 - 印旛日本医大駅間のままである[3]。同時に駅ナンバリング新京成電鉄を除いた京成グループ各線(京成・北総・芝山)で一斉に採用した(新京成も後に採用)が、京成高砂を除く北総線全駅には北総鉄道独自の駅番号が付けられ、京成電鉄の駅番号は付けられなかった。

年表[編集]

詳細は 京成電鉄のダイヤ改正 を参照
  • 1979年昭和54年)3月9日 北総線(第1期)北初富駅 - 小室駅間(7.9km)開業。同時に新京成線との相互直通運転開始。7000形電車営業運転開始。
  • 1984年(昭和59年)3月19日 住宅・都市整備公団千葉ニュータウン線小室駅 - 千葉ニュータウン中央駅間(4.0km)開業。住宅・都市整備公団2000形(のちの9000形)電車営業運転開始。
  • 1988年(昭和63年)4月1日 小室駅 - 千葉ニュータウン中央駅間(4.0km)で北総開発鉄道が第2種鉄道事業者、住宅・都市整備公団が第3種鉄道事業者となる。北初富 - 千葉ニュータウン中央間(12.7km)を併せて「北総・公団線」に改称。
  • 1991年平成3年)3月31日 北総線(第2期)京成高砂駅 - 新鎌ヶ谷駅間(12.7km・第1種鉄道事業)開業。同時に4者による相互直通運転開始。7300形7150形電車営業運転開始。
  • 1992年(平成4年)7月8日 新京成線に新鎌ヶ谷駅が開業。新京成電鉄との相互直通運転廃止。同時に北初富駅 - 新鎌ヶ谷駅間(0.8km)廃止。
  • 1993年(平成5年)4月1日 ダイヤ改正により、急行を新設。平日朝ラッシュ時間帯の上りに2本設定される。
  • 1995年(平成7年)4月1日 千葉ニュータウン中央 - 印西牧の原間(4.7km・第2種鉄道事業)開業。下りに急行を新設し、3本設定される。住宅・都市整備公団9100形電車営業運転開始。
  • 1998年(平成10年)3月14日 JR武蔵野線東松戸駅開業。
  • 1999年(平成11年)11月25日 東武野田線に新鎌ヶ谷駅開業。
  • 2000年(平成12年)
  • 2001年(平成13年)9月15日 ダイヤ改正により、特急を新設[4]。平日朝ラッシュ時間帯の上り急行がすべて特急に格上げ。印旛日本医大行きの終電を32分繰り下げ、印旛日本医大駅24:46着とする。
  • 2004年(平成16年)7月1日 都市基盤整備公団保有区間の千葉ニュータウン鉄道への移管に伴い、「公団」を外し「北総線」に改称。
  • 2006年(平成18年)2月20日 7500形電車営業運転開始。
  • 2007年(平成19年)
  • 2009年(平成21年)2月14日 急行・特急の東松戸駅停車および同駅の新設ホーム供用開始。同年に京急に次いで2社目となる抑速信号現示を北総線の大半の信号機に設定。
  • 2010年(平成22年)7月17日 京成成田空港線(成田スカイアクセス)の開業に伴うダイヤ改正が行われ、北総線経由の列車種別として、京成電鉄のスカイライナー・アクセス特急が運行を開始。駅ナンバリングを導入。
  • 2011年(平成23年)
    • 3月11日 東北地方太平洋沖地震が発生したため、都営地下鉄浅草線・京急線との相互直通運転およびスカイライナーの運転が休止。
    • 3月14日 東北地方太平洋沖地震による発電所の停止に伴う電力供給逼迫のため、東京電力輪番停電(計画停電)を実施。これに伴い、この日からスカイライナーの運転が休止。
    • 3月 都営地下鉄浅草線との相互直通運転を再開。
    • 3月 京急線との相互直通運転を再開。
    • 3月16日 スカイライナーの運転を再開。
    • 4月11日 東北地方太平洋沖地震の余震とみられる巨大地震が発生したため、スカイライナーの運転が休止。翌12日運転を再開。
  • 2013年(平成25年)

運行形態[編集]

早朝・深夜の出入庫列車をのぞくほぼ全列車が京成高砂駅から京成電鉄都営地下鉄浅草線京浜急行電鉄を経由して相互直通運転を実施する。特に日中は北総線系統・成田スカイアクセス系統共に京急羽田空港国内線ターミナル駅発着が主体(京急線内は前者が快特、後者がエアポート快特)となる。

列車種別[編集]

北総線系統[編集]

北総線の列車は普通列車(各駅停車)が主体であるが、平日に限り特急および急行が運転されている。

特急
平日の朝ラッシュ時に上り5本が設定されている。5本すべての列車が西馬込行きであり、下りの設定は無い。京成線内も特急として運転される。
急行
平日の夕ラッシュ時に下り5本が設定されている。このうち4本が西馬込始発であり、残りの1本が羽田空港始発であるが、上りの設定はない。2010年7月17日のダイヤ改正より京成線内での急行の設定が廃止されているため、北総線内を急行として運転される列車は、京成線内では快速として運転される(京成高砂で種別変更。かつては京成線内普通も存在したが、2012年10月21日のダイヤ改正により京成線内快速に統一された)。

上記の特急および急行は、すべて北総車・都営車による運用である。かつては京急車の運用もあった。

普通
昼間は京急羽田空港発着(京急線内快特)が主体であるが、ラッシュ時には京急本線の線路容量の都合上西馬込駅発着の列車も運転される(京急直通列車は快特またはエアポート急行となる)。また、早朝上りの一部は京成線内特急に種別が変わるダイヤが存在する(現行ダイヤではいずれも羽田空港行で京急線内はエアポート急行。早朝のうち1本は成田スカイアクセス線の運用が組まれる)。
さらには三崎口駅までロングランする運用も存在するが、現在、北総鉄道の車両はすべて京急蒲田駅から空港線に入るため、多摩川を渡って神奈川県に入ることはない。
京急では2012年までの毎年1月3日箱根駅伝復路開催(京急蒲田空港線第一踏切をランナーが通過する)に伴う臨時ダイヤが編成されていた為、当日当該時間帯は列車を京急蒲田駅で運転を打ち切り、神奈川新町駅まで回送された。
過去には北総車が新逗子駅まで運転されていた時期もあった。また、運転される列車の3分の1程度は印西牧の原駅折り返しとなっている。
2010年7月17日のダイヤ改正以降は、普通列車が線路を共有する成田スカイアクセスのアクセス特急およびスカイライナーの待避を行うようになった。同改正にて、アクセス特急の折り返しで京成車両による京成上野駅始発の普通列車が下りに1本設定されている[5]

成田スカイアクセス系統[編集]

京成成田空港線#運行形態 を参照 北総線系統とは別に、線路を共有する成田スカイアクセスの列車種別として、スカイライナー京成上野駅 - 成田空港駅間)およびアクセス特急(主に羽田空港 - 成田空港駅間)がほぼ終日にわたって運転されている。

運転パターン[編集]

一般列車は北総線系統とスカイアクセス系統と合わせて40分周期のパターンで構成されている。

  • 普通(通過待ち無し)
  • 普通(新鎌ヶ谷でアクセス特急待ちあわせ)
  • アクセス特急

臨時列車[編集]

ラーバン・コスモス号(1998年10月)
千葉ニュータウンで開催された「ラーバンフェスタ」のアクセス列車として、矢切 - 印西牧の原間で運行。側面にコスモスのラッピング装飾がされた9100形が使用され、車内ではメキシコの民族音楽の実演が行われた。なおラーバンとは、田舎 (rural) と都会 (urban) を併せた和製英語である。
都営フェスタ号(2008年11月)
都営地下鉄馬込車両検修場で開催された「都営フェスタ'08」のイベントの一環として、印西牧の原→西馬込間(片道)にて運行。普段は乗り入れしない京成3500形3592編成(未更新車4両編成)を使用して運行された。
臨時特急 ほくそう春まつり号(2009年3月・2010年3月・2012年3月・2013年3月・2014年4月)
「ほくそう春まつり号」は、2009年に北総鉄道の開業30周年を記念し、特別に運転したところ好評だったため、その後も千葉ニュータウン中央駅前で開催される「ほくそう春まつり」にあわせて毎年運転されている。
2009年、2010年は、京成上野→千葉ニュータウン中央間(片道)を特急停車駅で運行した。2009年には9100形(8両編成)、2010年には9000形(8両編成)が使用され、ともに営業列車としては初めての京成上野駅入線となった。
2011年には押上→千葉ニュータウン中央間(片道)を特急停車駅で運行する予定で、7300形(8両編成)が使用される予定だったが、東北地方太平洋沖地震による影響で「ほくそう春まつり」が中止され、「ほくそう春まつり号」も運転中止となった。このためほくそう春まつり臨時列車の車両はいずれも千葉ニュータウン鉄道所有車が使用されている。
2012年3月31日は、八千代台→千葉ニュータウン中央駅間(片道)を特急停車駅かつ京成高砂で折り返しの運行で、9100形を使用した。ただし、当日は爆弾低気圧に伴う悪天候の影響で「ほくそう春まつり」は2年連続中止となったものの、臨時列車は運転された。
2013年3月には2012年の八千代台駅を延長して京成成田始発で運行、車両は9000形が使用された。また種別は京成線内は通勤特急、北総線も通勤特急(臨時扱い)であるがアクセス特急が停車する東松戸新鎌ヶ谷を通過して小室駅に停車した。なお小室駅はアクセス特急は通過するが北総線特急・急行は停車する。「ほくそう春まつり」も3年ぶりに開催された。
2014年は「ほくそう春まつり」の開催時期が4月下旬に変更された。「ほくそう春まつり号」は上野→千葉ニュータウン中央間を特急停車駅で運行し、新型車両の9200形(8両編成)が使用された。なお、北総鉄道の車両としては初めて設置された、ドア上部のLCDディスプレイは使用されなかった。

車両[編集]

自社車両(千葉ニュータウン鉄道含む)をはじめ、直通運転先である京成電鉄都営地下鉄浅草線京浜急行電鉄の各社局の車両が乗り入れて運行される。

2014年3月時点で北総鉄道の営業列車として運行されている車両とかつて運行されていた車両は次の通り(自社所有車・リース車以外も含む)。※の付いた車両は共用区間である成田スカイアクセス線にも運行される。

運行中の車両[編集]

過去の車両[編集]

編成両数[編集]

2012年12月現在、すべての車両が8両編成で運行されている。

1979年の開業時は6両編成が主体であったが、1991年の都心直通時に自社車両はすべて8両編成に増強された。また、1992年から2000年7月22日のダイヤ改正前までは線内限定の区間列車として4両編成での運用が存在していた。

また、1993年4月1日から1994年12月9日にかけては直通先の京急空港線が8両編成の乗り入れに対応していなかったため、データイムのほぼすべてが6両編成での運転であった。しかし、当時北総鉄道は6両編成の車両を保有していなかったため、データイムはほぼすべてが他社局の車両で運行されることになり、北総鉄道の車両が自社線内をほとんど走行しない珍しい光景が見られた。

駅一覧[編集]

当路線は2010年7月17日より全線にわたり京成電鉄成田空港線(成田スカイアクセス)との共用区間となり、アクセス特急が停車する北総鉄道の駅は京成電鉄との共用駅となった。

以下の表には、北総鉄道の運行する北総線の列車について記している。京成電鉄が運行する成田スカイアクセス線の列車(スカイライナー、アクセス特急)の停車駅は「京成成田空港線#駅一覧」を参照。

凡例
●:停車、↓↑:通過(矢印の方向のみ運行)
駅番号 駅名 駅間キロ 累計キロ 急行 特急 接続路線・備考 所在地
直通運転区間
(京成本線・押上線経由)
都営浅草線西馬込駅まで
○都営浅草線・京急本線経由京急空港線羽田空港国内線ターミナル駅まで
○都営浅草線・京急本線経由久里浜線三崎口駅まで
○都営浅草線・京急本線経由逗子線新逗子駅から
- 京成高砂駅 - 0.0 京成電鉄 (KS10):KS 京成本線(直通運転:上記参照)KS 金町線 東京都 葛飾区
HS01 新柴又駅 1.3 1.3  
HS02 矢切駅 1.9 3.2   千葉県 松戸市
HS03 北国分駅(堀之内貝塚) 1.5 4.7   市川市
HS04 秋山駅 1.5 6.2   松戸市
HS05 東松戸駅 1.3 7.5 東日本旅客鉄道武蔵野線
京成電鉄KS 成田空港線(共同使用駅)
HS06 松飛台駅(八柱霊園) 1.4 8.9  
HS07 大町駅(市川市動植物園) 1.5 10.4   市川市
HS08 新鎌ヶ谷駅 2.3 12.7 京成電鉄:KS 成田空港線(共同使用駅)
新京成電鉄SL 新京成線 (SL11)
東武鉄道野田線(東武アーバンパークライン) (TD-30)
鎌ケ谷市
HS09 西白井駅 3.1 15.8   白井市
HS10 白井駅 2.0 17.8  
HS11 小室駅 2.0 19.8   船橋市
HS12 千葉ニュータウン中央駅 4.0 23.8 京成電鉄:KS 成田空港線(共同使用駅) 印西市
HS13 印西牧の原駅 4.7 28.5  
HS14 印旛日本医大駅(松虫姫) 3.8 32.3 京成電鉄:KS 成田空港線(成田空港方面・共同使用駅)

開業前は、印西牧の原駅は「印西草深(そうふけ)駅」、印旛日本医大駅は「印旛松虫駅」という地名を由来とする仮称が付いていた。

沿線風景[編集]

京成高砂 - 新鎌ヶ谷[編集]

京成高砂駅を出ると、京成電鉄の高砂検車区を左に見ながら高架橋へと上がり、大きく左へカーブしてトンネルを抜けると新柴又駅へと到着する。住宅地を抜けると江戸川橋梁を渡り千葉県松戸市へと入るが、田園風景が広がる。線路はすぐに下総台地の下に掘られた栗山トンネルへ進入し、矢切駅へと至る。この先、北国分駅 - 松飛台駅間は地形上、台地と低地が入り組む谷津田が多いため、トンネルと高架が連続する高低差の大きい線形となる。特に秋山駅では地下駅なのに対し、次の東松戸駅ではJR武蔵野線を跨ぐためホームが地上20mの高さにある。松飛台駅を過ぎると高架の直線区間が続き、左手に住宅地、右手に畑を見ながら大町駅へと進み、国道464号(大町梨街道)と立体交差する。さらに高架を進むと、左手に新京成電鉄くぬぎ山車両基地を見ながら新京成線と合流。しばらく併走し、私鉄4線が乗り入れる新鎌ヶ谷駅へと至る。

新鎌ヶ谷 - 千葉ニュータウン中央[編集]

鎌ケ谷市の新しい市街地として開発が進む新鎌ケ谷を横目に、しばらく高架の直線区間が続いたのち短いトンネルを抜ける。やがて線路は掘割区間となり、千葉ニュータウン(白井市)の玄関口である西白井駅へと到着する。この先、千葉ニュータウンエリア内では堀割内を国道464号(北千葉道路)に挟まれるかたちで道路と併走する。次の白井駅にかけてはニュータウン独特の大型店舗が建ち並ぶ街並みが沿線に広がり、小室駅の手前では国道16号と交差する。この先神崎川を跨ぐ高架区間では両側に水田が広がり、線路は再び掘割区間を進み、北総線最大の乗降客数を誇る千葉ニュータウン中央駅へと至る。駅周辺にはイオンモール千葉ニュータウン等がある。

千葉ニュータウン中央 - 印旛日本医大[編集]

この区間は元々、成田新幹線(未成線)用に確保されていた用地を一部活用しているため、高低差もなく、線形も良い。次の印西牧の原駅周辺は、並行する国道464号沿道にロードサイド型の大型商業施設が立ち並ぶ。印西牧の原駅を出るとしばらく複々線区間が続いたのち、内側2線が印旛車両基地への高架線として右手にわかれる。右手に車両基地を見上げながら線路は掘割区間を進み、終点・印旛日本医大駅へと到着する。駅の先には引き上げ線が用意されており、本線は成田高速鉄道アクセスの線路として成田空港方面へ続く。

成田空港延伸[編集]

京成成田空港線 も参照 都心から成田国際空港への所要時間を短縮するために、北総鉄道を経由する「成田新高速鉄道」構想が1985年運輸政策審議会答申第7号において計画され、2006年に着工した。新設となる印旛日本医大駅から成田空港高速鉄道接続点までの区間は、新たに設立された成田高速鉄道アクセスが建設・保有を行うこととなった。新設区間は最高速度160km/hとなり、これに合わせ、既存の京成高砂駅 - 印旛日本医大駅間は最高速度130km/hで走行するための待避設備の設置と鉄道信号機に対する抑速現示の設定を含む設備改良工事が行われることが成田高速鉄道アクセスから発表されていた。ただし、現在の北総線区間では高速進行現示は設定されない。これに先立ち、東松戸新鎌ヶ谷小室の3駅で待避線建設に伴うホームの増設工事が行われた。このうち信号機の抑速現示は2009年夏より使用を開始した。

2010年7月17日の開業以降は、印旛日本医大駅止りの列車は従来通り北総鉄道が運行し、成田空港駅まで直通する列車は京成電鉄が運行する。これにより、スカイライナーの所要時間は日暮里駅 - 空港第2ビル駅間で最速36分となった。それまでは、JRの成田エクスプレスや京成電鉄本線のスカイライナーを利用した場合、都心から空港第2ビル駅までは1時間程度を要していたため、大幅な所要時間短縮が実現した。

また、千葉県北西部等の交通利便性の向上と、成田地域と千葉ニュータウン地域の機能連携の強化にも寄与することが期待されている。しかし、その一方で「運賃の高い北総線経由になることで、運賃が値上げされるのではないか」、「スカイライナーと北総線の運賃が二重運賃にならないか」と問題視する声もあったが[7][8]、最終的に値上げや二重運賃は適用されず、印旛日本医大駅をまたいだ乗車であっても、両社の乗車距離の合計を京成成田空港線の運賃基準に当てはめ計算されることとなった(「北総鉄道#運賃」も参照)。

その他[編集]

運賃問題[編集]

詳細は 北総鉄道#運賃問題 を参照

北総線は、東京通勤圏の一部を除く他の鉄道と比べて運賃が高い上、定期券の割引率が低いため沿線住民の負担になっている。山下努著「不動産絶望未来」東洋経済新報社によれば千葉ニュータウンの住民の間では「財布落としても定期券落とすな」が合言葉になっていたという(PASMO定期券の普及により、紛失時の再発行が可能になったため、その問題は解消された)。沿線の白井市などは「北総線通学定期券助成」制度を設けている[9]。千葉県と沿線6市2村も、北総鉄道への財政支援を交換条件に運賃値下げを求めてきたが、2010年2月19日に認可され、運賃値下げが実現した。

大規模開発と鉄道[編集]

北総線は、東京圏東部の大型ニュータウン・千葉ニュータウン事業の一環として建設された。2006年8月23日付けの朝日新聞夕刊1面によると、計画の盛り込まれた1960年代には計画人口34万人を見込んでいたが、1970年代オイルショック1990年代のバブル崩壊などで縮小を余儀なくされ、現在では8万人にとどまっている。それでもわずかながらも沿線開発が続けられ、北総線利用者数は増加傾向にある。

なお、千葉ニュータウン中央以東の区間で線路に沿って確保されている用地は、成田新幹線未成線)の跡地および、北千葉道路の建設用地である。

脚注[編集]

  1. 現状、待避線を有する駅の場内=構内のみC-ATS化されており、単純な棒線駅や駅間については現在も従来の1号型ATSが使用されている。これらの切り替えは走行中に自動的に切り替えが行われており、切り替え地点となる信号機には切り替えポイントを示す標識があり、『1号型→C-ATS』『C-ATS→1号型』という表記が見受けられる。なお、印旛日本医大駅以遠の成田スカイアクセス線内は全面的にC-ATS区間である。
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  3. これは、ひとつの線路を二つの鉄道会社が共用するという運行形態であり、いわゆる「直通運転」とは異なる。類例には都営地下鉄三田線東京メトロ南北線の組み合わせなどがある。
  4. 「北総開発鉄道 特急列車を初導入」、『日本経済新聞』2001年8月21日付朝刊、29面、首都圏経済・東京
  5. 交通新聞社発行の『東京時刻表』や京成上野駅の時刻表では京成高砂行として表記されている。
  6. 1998年に発売された「鉄道ピクトリアル」656号91ページには京急川崎行きの77Kの運用に付いている写真が掲載されている。
  7. 北総線高額運賃の研究 - 月刊千葉ニュータウン (Internet Archive)
  8. 北総線 高運賃是正を要請 国交相に市民団体
  9. 白井市北総線通学定期券助成の案内

参考文献[編集]

  • 佐藤信之「鉄道・軌道プロジェクトの事例研究31 住宅・都市整備公団線の経緯」 - 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』2004年6月号 No.452 pp.140-143

関連項目[編集]

外部リンク[編集]